2011年03月23日 (水) | EDIT |

著 者: 吉田修一
出版年: 2007年
出版社: 朝日新聞社
公式サイト
2002年01月06日、福岡市内で暮らす保険外交員、石橋佳乃を絞殺し死体を遺棄したとして、長崎に住む若い土木作業員が逮捕された。
2001年12月09日、佳乃は同僚の谷元沙里と安達眞子と夕食を食べた帰り、恋人である大学生、増尾圭吾と会うと言って2人と別れたまま、翌日出社しなかった。沙里と眞子が佳乃と連絡を取ろうとしたが携帯は繋がらず、一緒にいたはずの増尾は数日前から行方不明だという。福岡と佐賀を結ぶ国道263号線が跨ぐ三瀬峠で見つかった若い女性の死体の特徴が佳乃と似ていたために、沙里と眞子が上司の寺内吾郎に相談し、死体を確認しにいった寺内の証言から、死体は佳乃と断定される。眞子は、警察の事情聴取に対して、増尾や佳乃が出会い系サイトで数人の男たちと会っていたことを話すが、ある1人の男の話をしそびれていた―――――
映画を観てから原作を読んでみようと思っていたので、図書館で借りてきました。
先に映画を観ているのでキャラクターのイメージがしやすいし、読みやすく、面白かった。
祐一は、妻夫木だといい男すぎるんじゃないの?と思っていたけど、ちゃんと、“ちょっといい男”という描写があるんだね。普通にしていれば女の子は寄ってくるくらいのルックスなのに、幼い頃に母親に捨てられたトラウマと美保や一二三とのエピソードがあるので、祐一が人付き合いが苦手で、いかに孤独だったか、人と繋がりたかったかが伝わってくる。同じように孤独を抱えていた光代と心を通わせた理由もわかりやすい。最初に会って、寝る前にちゃんと気持ちを伝えあっているんだよね。時間の制約もあったんだろうけど、映画ではその辺が弱かったのが残念。
光代みたいな人って出会い系サイトに登録するのかな?って違和感があったんだけど、双子の妹の珠代と2人で寂しく暮らしていて、このまま毎日過ぎていくのかな…という虚無感のようなものを抱えていた光代が、バスジャックされたバスに乗り損ねたことで、ある意味吹っ切れた気持ちになって、祐一に会う気になったこともすんなり入ってきました。
原作では光代・珠代とも恋人がいなかったんだけど、映画では珠代に恋人がいて、光代の寂しさが強調されているという変更はわかりやすくて良かったですね。
佳乃の事情も詳しく書いてあって、映画ではかなり嫌な女、というか鬱陶しい女に描かれていたけど、原作では、積極的に友だちになりたいタイプではない(笑)ものの、彼女の気持ちも理解できる。佳乃に対する印象はかなり変わったかも。
ラストも映画とちょっと違う感じ。
原作では光代の独白で終わっていて、逃げていた時は祐一を悪人と思わなかったけど、今では悪人だってわかっている。わかっているけど、一部自分の中で落としきれない部分がある…みたいな感じで、祐一が光代の首を絞めた意味や彼の供述が生きている。映画ではそういう感じは受けなかった。落としきれないというよりは、世間では悪人と言われているけど自分には悪人じゃなかったみたいな感じ。深津絵里の演技のせいかなあ。
評価:★★★★(4.0)
やっぱりこれだけの内容を、原作者が脚本にかかわっているとはいえ、2時間ちょいに収めるのは難しいんだな。映画では描き切れていなかった、登場人物それぞれの背景がわかるので、またちょっと印象が変わりました。面白かった。
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祐一は、妻夫木だといい男すぎるんじゃないの?と思っていたけど、ちゃんと、“ちょっといい男”という描写があるんだね。普通にしていれば女の子は寄ってくるくらいのルックスなのに、幼い頃に母親に捨てられたトラウマと美保や一二三とのエピソードがあるので、祐一が人付き合いが苦手で、いかに孤独だったか、人と繋がりたかったかが伝わってくる。同じように孤独を抱えていた光代と心を通わせた理由もわかりやすい。最初に会って、寝る前にちゃんと気持ちを伝えあっているんだよね。時間の制約もあったんだろうけど、映画ではその辺が弱かったのが残念。
光代みたいな人って出会い系サイトに登録するのかな?って違和感があったんだけど、双子の妹の珠代と2人で寂しく暮らしていて、このまま毎日過ぎていくのかな…という虚無感のようなものを抱えていた光代が、バスジャックされたバスに乗り損ねたことで、ある意味吹っ切れた気持ちになって、祐一に会う気になったこともすんなり入ってきました。
原作では光代・珠代とも恋人がいなかったんだけど、映画では珠代に恋人がいて、光代の寂しさが強調されているという変更はわかりやすくて良かったですね。
佳乃の事情も詳しく書いてあって、映画ではかなり嫌な女、というか鬱陶しい女に描かれていたけど、原作では、積極的に友だちになりたいタイプではない(笑)ものの、彼女の気持ちも理解できる。佳乃に対する印象はかなり変わったかも。
ラストも映画とちょっと違う感じ。
原作では光代の独白で終わっていて、逃げていた時は祐一を悪人と思わなかったけど、今では悪人だってわかっている。わかっているけど、一部自分の中で落としきれない部分がある…みたいな感じで、祐一が光代の首を絞めた意味や彼の供述が生きている。映画ではそういう感じは受けなかった。落としきれないというよりは、世間では悪人と言われているけど自分には悪人じゃなかったみたいな感じ。深津絵里の演技のせいかなあ。
評価:★★★★(4.0)
やっぱりこれだけの内容を、原作者が脚本にかかわっているとはいえ、2時間ちょいに収めるのは難しいんだな。映画では描き切れていなかった、登場人物それぞれの背景がわかるので、またちょっと印象が変わりました。面白かった。
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