2013年01月10日 (木) | EDIT |

著 者: 薬丸岳
出版年: 2008年
出版社: 講談社
北海道江別に住む作家の三上孝一は、3年前に離婚した元妻の佐和子から、離婚以来初めて連絡を受ける。2人は4年前に、藤崎裕之という男が起こした通り魔事件に巻き込まれ、4歳の娘、留美を亡くしていた。藤崎は留美や佐和子を含めて12人もの人間を殺傷するという事件を起こしたが、統合失調症で心神喪失状態であったとされて罪に問われず、事件が原因で三上と佐和子は上手くいかなくなり離婚に至ったのだった。佐和子は再婚していたため、三上は訝しく思いながら3年ぶりに佐和子に会う。佐和子の様子は普通でなく、街で藤崎を見たと言って取り乱す。
一方、すすきののキャバクラ嬢ゆきは、生理的に受け付けない客、田代の接客でうんざりしているところに、フリーの客からの指名が入る。藤崎と名乗るその男は、ルックスが良い上に紳士的であったため、ゆきは好印象を抱く。
そして三上は、親友である精神科医の松岡俊広に、藤崎が社会に復帰している可能性を聞きに行くが、逆に佐和子が事件後に統合失調症を患っていたことを知らされ、ショックを受ける。しかし佐和子をこれ以上傷つけないために、三上は藤崎の行方を捜し始めるが―――――
インフルエンザの熱はとりあえず下がったので、大人しく撮りためた24とか映画を観ています。昨年観たけどまだ記事にしていないものも徐々にアップしていこうかと。
まずは久々の小説で。かなり前に読んでいるんですけどね~
佐和子は統合失調症を装っているのでは?というのは、読んでいると何となく察知できるので、そこは特に驚かなかった。それより、ゆきがトラウマを抱えているようだというのもわかるけど、トラウマどころか藤崎と同じように殺人を犯した過去があるというのが、ええー??
という感じでしたね。「ルームメイト」じゃないけど、心の病を持っていて、それが原因で人を殺した過去のある藤崎とゆきが、たまたま出会って恋に落ちるのにはちょっと無理がある気がする。しかも、ゆきを診ていた医者が松岡って、偶然にも程がある。どんだけ狭いんだ。
三上側と藤崎側と両方から話が進んでいて、本筋が薄まるという程ではないんだけど、とにかくゆきの話の印象がかなり強い。特にゆきの“営カレ”田代。“納豆男”
とニックネームがつけられてしまうのも納得するくらい、表現がすごく気持ち悪くて、ちょっと吐き気が (;´Д`)ゲロゲロ
「天使のナイフ」は少年法、「闇の底」は幼い子に対する性犯罪、今作は、いわゆる刑法39条によって、犯人が無罪になった事件について、被害者の気持ちを描くことで疑問を投げかけています。
おそらく、判決後に病気が完治するまで強制入院等の措置が取られるとかであれば、被害者や遺族は、ある程度は気持ちを治めることができるのかもしれないけど、今のところのイメージとしては無罪放免に見えてしまうからね。まぁ、無期懲役でも、終身刑ではないので数十年経てば社会復帰できるケースも多々あるし、この問題だけではなくて日本の刑法が今の時代に合っていないのかもね。
最後は、三上と佐和子には救われる展開というか前向きなラストになっているので、読んでいてちょっとホッとしました。
評価:★★★☆(3.5)
ちょっと無理があるところもない訳ではないのですが、面白かったです。
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三上側と藤崎側と両方から話が進んでいて、本筋が薄まるという程ではないんだけど、とにかくゆきの話の印象がかなり強い。特にゆきの“営カレ”田代。“納豆男”

「天使のナイフ」は少年法、「闇の底」は幼い子に対する性犯罪、今作は、いわゆる刑法39条によって、犯人が無罪になった事件について、被害者の気持ちを描くことで疑問を投げかけています。
おそらく、判決後に病気が完治するまで強制入院等の措置が取られるとかであれば、被害者や遺族は、ある程度は気持ちを治めることができるのかもしれないけど、今のところのイメージとしては無罪放免に見えてしまうからね。まぁ、無期懲役でも、終身刑ではないので数十年経てば社会復帰できるケースも多々あるし、この問題だけではなくて日本の刑法が今の時代に合っていないのかもね。
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