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I'm sorry,mama. 
2011年07月09日 (土) | EDIT |
I'm sorry,mama.I'm sorry,mama.
著  者: 桐野夏生
出版年: 2004年
出版社: 集英社

児童養護施設“星の子学園”の元保育士である門田美佐江と25歳年下の夫、稔は、結婚20周年の食事に出かけた焼肉屋で松島アイ子と再会する。稔もアイ子も星の子学園出身の子供で、置屋で育てられたアイ子は他の子供とは様子が違っており、稔はアイ子を悪しざまに罵ったが、美佐江は懐かしさに駆られてアイ子をスナックに誘う。しかしスナックではなく美佐江の家に突然現れたアイ子は、灯油を撒き、火をつけて逃走する。
星の子学園から養育家庭として里子を引き受けていた狐久保隆造は、美佐江と稔の葬式に参列し、そこで昔預かっていた康夫と幸子と再会し、アイ子の話題になる。強烈な印象で隆造の記憶に残っていたアイ子には、盗癖がある問題児だったからだった。数日後、警察が焼肉屋に現れて聞き込みを行う。身の危険を悟ったアイ子は焼肉屋から逃げ出し、横須賀へ向かう―――――


たまたま図書館で目についたので、借りてみました。
最初に美佐江と稔の話が出てくるので、この2人が主役かと思いきや、あっさり死亡。
で、真の主役はアイ子。このアイ子が気持ち悪くて、どうにも共感できない… いや、殺人鬼なので共感しなくていいんだけど。何というか、普通の人にとっては理解できない思考回路。まさにモンスター。

アイ子は、母親が誰かもわからずに、戸籍もなく、置屋で育てられた。当然学校へも行けないために同年代の子供と触れ合うこともなく、性悪な娼婦たちに囲まれた中で、虐待といってもいい状況。逞しいともいえるけど、それだけではなくてどこか人間的に歪んでいる。自分では当然歪んでいることに気付いていない。そしてある時、都合の悪いことは消しゴムで消せばいいと気付いたアイ子は、ホテルメイドをしながら、人を殺して金を奪って生きていく。
この物語が現代を舞台にしているのに、どこかリアルに感じないのは、よくもそんなに次から次へと人を殺して今までまったく警察にも目をつけられずにいたもんだと思ってしまうからかなあ。別に偽装工作とかもしてなさそうなのに。
アイ子がモンスターになってしまった原因の生い立ちが特殊すぎて、これもどうにも理解しづらい。

アイ子が主役なので、彼女の生まれ育った背景の説明だけにすりゃいいのに、冒頭の美佐江と稔の関係とか、アイ子が里子として過ごした狐久保家の描写とか、関係ないと思われるところに結構量を割いていたりして、なんか (-"-;) ?? な感じ。それぞれ、美佐江と稔、狐久保家の事情とか色々掘り下げると面白そうな設定ではあるけど、結局、美佐江たちと狐久保家は冒頭しか出てこないし、だったら隆造が女装趣味とかどうでもいいんじゃ…とか思ったり。
又勝志津子の事情も(どうもアパホテルの社長の顔が浮かんじゃうんだけども、モデルなんだろうか)、旦那が女遊びがひどいとか、そこまで書かなくてもいいよね…

不思議なのは、元娼婦たちが互いに連絡を取ろうとして同窓会みたいなものを作っちゃうこと。連絡取ろうとするものかねえ。好きでこの商売をしていたならともかく、そうでない人は連絡したくないんじゃないの?とか思った。まぁお婆ちゃんになったから昔のことが懐かしくてそういうこともあるかもしれないけど…

評価:★☆(1.5)
娼婦たちの様子とか、女のエグさみたいのは相変わらず出ていて、この人らしいなと思った。でも犯人である主人公の心理がどうも普通の人間じゃないので、いまいち入り込めず。。。


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