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灼熱の魂 
2012年01月17日 (火) | EDIT |
 TOHOシネマズ シャンテにて鑑賞
灼熱の魂灼熱の魂/INCENDIES
2010年/カナダ、フランス/131分
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演: ルブナ・アザバル/メリッサ・デゾルモー=プーラン/マキシム・ゴーデット/レミー・ジラール
公式サイト
公開: 2011年12月17日

母親ナワル・マルワンが亡くなり、ナワルの勤務先の上司でもある公証人ジャン・ルベルから、遺言があると呼び出されたジャンヌとシモン。その内容は、「棺には入れず裸でうつぶせのままとし、墓石も立てず墓碑銘も刻まず。約束を守れぬ者には墓碑銘はいらぬ、約束が果たされた時に初めて墓碑銘を刻む」という奇妙なものだった。そして、双子の姉ジャンヌには父親宛の封筒、弟シモンには兄宛の封筒が託される。父親は内戦で死んだと聞かされ、兄のことは初耳だった2人は困惑し、これまで変わり者の母親に悩まされてきたシモンは父親も兄もいないと憤るが、ジャンは、確かに風変りな内容だが遺言は絶対であると2人を諭す。ジャンヌは1人、ナワルの出身地である中東のデルオム村へ向かい、母の人生を辿り始める―――――


これは予告にかなり興味を惹かれまして、早く観に行かなくちゃ!と思っていたのですが、年明けになってしまいました。第83回米アカデミー賞外国語映画賞ノミニーです。
いやあ…何というか、うーん…
サラの鍵」と同じく、現在のジャンヌ、シモンたちのストーリーと、ナワルの過去とが入れ替わるように進んでいくミステリ仕立ての構成なので、入り込みやすかったし、ナワルの生きてきた過酷な状況がだんだんわかってくるにつれて、どうなっちゃうんだろうと思っていたのだけど、衝撃の事実が明かされた時にちょっと引きました。
というか、この衝撃ありきでこの話考えられたのでは?と思うくらい、突拍子もないというか…。上手く言えませんが、しっくりこない感じがしました。

この事実を残された双子に伝えることに何の意味があったのかが、理解できない。これは、ナワルが墓の中まで持っていくべきことでしょう。ジャンヌが事実を知った時に悲鳴をあげたけど、自分なら自殺を考えるレベルの話だと思った。
そして、ニハドも。真実を知らされて、あのままニハドが生きていけるとも思えないけど…
真実を告げることがいいこととは限らない。これを聞かされた3人がどう思うかを考えたら、黙っていることが相手を思う、愛しているということだと思うので、敢えて3人に知らせたナワルは自分勝手な女としか思えない。
双子はこの事実を、自分の中でどう決着をつけて、どんな思いでニハドに手紙を持って行ったのか、色々葛藤があったはず。それがさらっと流されてしまったのもちょっと気にくわない。

あと、すっごく気になったのは、あまりにも偶然に頼りすぎているところ。
アブ・タレクとカナダのプールで会うのは、偶然が過ぎる。カナダどれだけ狭いんだって話。会った時、アブ・タレクが全く気付かないのも不思議だなあ。彼は似たようなことをあちこちでしていたのかな。拷問人だから、相手の顔も見ていなかったのか。そんな拷問人が、カナダで普通に暮らしていることも不自然極まりないと思うのですが。

ニハドが組織の中で戦士として育てられ、凄腕の狙撃手にまでなったのに、そんなに簡単に洗脳されてしまうもの? そこもちょっと不自然に感じました。

ジャンヌたちとニハドの年齢差もちょっと良くわからないんだよね。ナワルがニハドを出産したのが1970年。その後テロに身を投じて、15年服役して…そこで子供を産んでいるから、ジャンヌたちが幾つぐらいだろう。少なくとも働いている訳だから、20歳は過ぎているはず。看護婦のマイカが、歌う女が釈放されるまで双子の面倒を見ていたと言っていたので、収監されて14年目に妊娠した訳じゃないってことだよね。13年目に妊娠したとして、2009年にジャンヌたちが23~24歳とすると、妊娠したのは1984~85年くらいか。するとニハドは15~6歳くらい? そうは観えなかったが…

最初の方で、ナワルとジャンヌの区別がつきづらくてちょっと混乱 ?(゜_。)?(。_゜)?
どこの地域の話なのかもなかなかわからなくて、ジャンヌとシモンってフランス名っぽいし…と思っていたら、カナダだと出てきて でした。カナダのケベックって、フランス語が公用語なのね。ナワルの出身も、パレスチナの辺りなのかなあと思っていたんだけど、レバノンなんですね。知らなくてもわかるけど、知っていると背景がよりわかっていいかな。
バスが襲われるシーンは怖かった…。あのシーンが一番臨場感があったように思いました。

評価:★★★(3.0)
衝撃の事実のおかげで、残念なことになっている気がする。1+1=1じゃなくても、ナワルの悲劇は十分伝わるし…
そこまでは良かったので、★3.0で。


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監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演者:ルブナ・アザバル、 メリッサ・デゾルモー=プーラン、 マキシム・ゴーデット、 レミー・ジラール
収録時間:131分
レンタル開始日:2012-05-02

Story
母の深い愛が心を揺さぶるヒューマンミステリー。双子の姉弟・ジャンヌとシモンの母親が、謎めいた2通の手紙を遺して他界。その手紙は存在すら知らされていない姉弟の父親と兄に宛てられたものだった。姉弟は母の数奇な人生をたどり始めるが…。 (詳細はこちら

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THEMA:映画館で観た映画
GENRE:映画
TAG:ドゥニ・ヴィルヌーヴ ルブナ・アザバル メリッサ・デゾルモー=プーラン マキシム・ゴーデット レミー・ジラール 第83回米アカデミー賞 
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おはようございます!
コメント&TBありがとうございました。
あ、私もプールのシーンは思いました。
いや流石にそこで会うのは偶然過ぎるにも程があるだろうって。
顔を見てもそ知らぬ感じでしたし、ここは疑問に思う部分ではありましたね。
確かにあの真実あっての、それまでのドラマではあるでしょうけども、私はあの真実を考え付いた所に感心させられた部分はあります。
ただ重たいだけの映画は苦手なんですが、意外性を持つラストシーンを用意した作品にはどうしても好感を抱いてしまう私でありました。
2014年10月26日(日) 08:47 |   | ヒロ之 #-[ EDIT]
ヒロ之さん
コメントありがとうございますv-411

> あ、私もプールのシーンは思いました。
> いや流石にそこで会うのは偶然過ぎるにも程があるだろうって。
> 顔を見てもそ知らぬ感じでしたし、ここは疑問に思う部分ではありましたね。

そうなんですよねー
ちょっとあれは偶然にも程があるって。

> 確かにあの真実あっての、それまでのドラマではあるでしょうけども、私はあの真実を考え付いた所に感心させられた部分はあります。
> ただ重たいだけの映画は苦手なんですが、意外性を持つラストシーンを用意した作品にはどうしても好感を抱いてしまう私でありました。

意外性を持つラストはわたしも好きなんですが、この作品については、ちょっとやり過ぎだなって思ってしまったんですよね。
後味が悪いのは嫌いじゃないんですが、あまりにもちょっと…と引いてしまったというのもあるかもしれません。
2014年10月27日(月) 23:39 |   | りお(管理人) #xPbS6JcU[ EDIT]
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