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週に1本は劇場で映画を観る!が合言葉。 主に映画、時々小説の感想を脳内垂れ流しで書きなぐるブログ。ネタバレあり。
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奪取 
2006年02月05日 (日) | EDIT |
奪取〈上〉奪取〈下〉奪取
著  者: 真保裕一
出版年: 1999年
出版社: 講談社文庫/講談社

手塚道郎は、変造テレホンカードを造ったり、高電圧によって自動販売機を誤作動させ、釣り銭をかすめ取ったりする詐欺で小銭を稼いでいる。ある日、道郎は“東建ファイナンス”という街金の、いかにもヤクザといった風体の男たちから声をかけられる。友人の西嶋雅人が、東建ファイナンスから1260万円もの借金をし、その時の保証人として道郎の名前を書いたというのだ。借金返済のためにクスリの運び屋を引き受けろと言われ、道郎は自分で何とかすると豪語。道郎は、借金返済のために偽札造りに手を染めることを決める。期限は1週間。道郎と雅人は、銀行のCDを襲って紙幣識別器を手に入れ、識別器を通過できる偽札を刷ろうとする。まずは機械を相手のコン・ゲームが始まった―――――


またもや真保裕一です。これは、日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した作品らしい。
この話は、雅人の借金返済の話が主となる「手塚道郎編」、妙なじいさんと印刷会社の娘、幸緒と組んで、幸緒の親が経営する印刷会社を偽札を使って救おうとする「保坂仁史編」、より完璧な偽札 を作って、印刷会社を卑怯な方法で奪った銀行に復讐する「鶴見良輔編」の3段構成になっています。
わざわざ紙の原料となる樹を植えて、それを漉いて紙を作って、そのために印刷会社や製紙会社に勤めたり、手間も時間もかかりすぎ。割が合わないと思うけど、そこは考え方が職人ぽいんだな。機械を騙すだけなら、最初に道郎がやった紙幣識別器を通過できるレベルの物を作れば充分なのに、どんどん深みに嵌っていく。「本物そっくりの偽札を作って、それが誰にも気付かれずに流通すれば、それは“本物”になる」という理屈は面白かった。

偽札造りのノウハウが書かれていて、素人には「ここまで書いちゃっていいの!? 」って感じでした(笑) でも実際、印刷関係者は「見た目だけなら、そっくりな偽札を造ることは出来る」と言う人が多いらしい。

全体的な構成はしっかりしてるし、面白い。個人的には、道郎と幸緒のラブ要素はいらないな。じいさんはいい味出していたけど。このじいさんが物語のキーポイントでしょう。じいさんが出てきて、ぐんと面白くなった。
ただし、ラストを加筆したらしいんだけど、これがいけない。こういうの駄目なんだよね…  効果的に使われているならもちろんいいんだけど、この場合は逆効果だと思う。あれで面白さ半減しちゃった気がする。

評価:★★★★(4.0)
ラストのエピソードとラブ要素さえなければ、5.0だったかも。でもまぁ面白かったので4.0。


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THEMA:ミステリ
GENRE:小説・文学
TAG:真保裕一 「このミステリーがすごい!」1997年版 日本推理作家協会賞 山本周五郎賞 
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